粉体塗装
粉体塗装とは「パウダーコーティング」とも呼ばれるように、細かい粒子で塗装物をコーティングする塗装方法です。 粉体の塗料は静電気の力でくっつき、その後焼き付けされ、強く均一な塗膜が形成されます。
粉体塗装のメリット
1回の塗装につき、30~150ミクロンの塗膜を生成することができ、粉体塗装の塗膜は溶剤塗装の4~5倍の厚みがあります。
塗装自体も強度に優れているので、物理的な傷に対して非常に強い塗装です。
粉体塗装は柔軟に伸縮するのでひび割れが起きにくく、通常の溶剤塗装と比べると塗膜の寿命が長いことで知られています。
温度や湿度などの塗装環境の影響を受けにくく、耐熱性、耐油性、防錆性に優れています。
有機溶剤を全く使用していないので、大気汚染や水質汚濁問題もなく、環境にも生態系にも優しいエコ塗料です。
また体に優しい表面処理方法として医療機器や福祉用具にも活用されており、欧米諸国をはじめ、世界中で採用されています。
粉体塗装の作業工程
【STEP1】旧塗膜剥離
剝離剤に塗装物を浸け、もともとの塗装をはがします。おおかたの汚れも旧塗膜といっしょに取れます。
【STEP2】から焼き
釜に入れ、約150~190℃で焼き、油分や水分を飛ばします。
から焼きをすることによって、粉体塗装後の焼き付けの際に、塗装の表面がぶつぶつになってしまうのを防ぐことができます。
【STEP3】塗装前処理
空気の圧力で飛ばした細かい砂を塗装面に当て、剥離剤で剥離しきれなかった旧塗膜を完全に除去します。
砂で表面を荒らすことによって、塗料の密着性がより高くなります。次にプライマーを塗ります。プライマーには付着性を高める他に、防錆の役割もあります。
これで塗装前の下地が完成しました。
【STEP4】粉体塗装
ガンを使って、細かい粒子を静電気の力で塗装物にくっつけます。
塗装物がプラスの電気を帯びているのに対し、そこにマイナスの電気を与えられた粉体の塗料が付着し、塗装物がコーティングされます。
【STEP5】焼付乾燥、完成
約165~190℃で焼き付けをし、完成です。
キャンディカラーなど、2コート必要なものはこの後にもう1回粉体塗装と焼付乾燥をして作業完了です。